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福岡地方裁判所 昭和31年(行モ)2号 決定

大分県豊後高田市大字玉津千六百十三番地

申請人

宮永フジ子

右代理人弁護士

池田純亮

被申請人

博多税務署長

田中八郎

右当事者間の昭和三一年(行モ)第二号執行停止命令申請事件について、当裁判所は次の通り決定する。

主文

被申請人は、申請外株式会社坪屋に対する滞納処分として昭和三十年七月十三日差押えた別紙目録記

載の各物件について、これが移動及び公売処分の執行を停止せよ。

理由

一、申請代理人は、「被申請人は申請外株式会社坪屋に対する滞納処分として、昭和三十年七月十三日別紙目録記載の各物件を差押えた。然し、右各物件は、差押処分のある以前より申請人の所有に属し、単に申請外株式会社坪屋に賃貸していたものであり、同会社が解散後は申請外筑紫製菓株式会社に賃貸していたものであるにかかわらず、被申請人が右事実を無視して前記坪屋に対する滞納処分としてなした差押処分は違法なものである。そこで、申請人は、国税徴収法第十四条によつて、右差押物件取戻請求のため申請人の所有たることの証憑をそえて同年七月二九日被申請人に対し再調査の請求をしたところ、被申請人は同年九月二三日請求棄却の決定をしたので、申請人は同年十月十七日福岡国税局長に更に審査の請求をしたところ、同国税局長は同三十一年四月十一日請求棄却の決定をした。よつて、申請人は被申請人及福岡国税局長を相手方としてそれぞれ前記再調査決定、審査決定の取消を訴求しているが、被申請人は、同年四月二七日に右物件を引揚のうえ公売にふする旨の通知を申請人に発しており、かくては本案判決があるまでに右物件の移動及公売処分をみることとなり、申請人は償うことのできない損害をうけるおそれあり、これを避けるため緊急の必要があるので、右執行の停止を命ぜられることを求める。」と申し述べた。

二、当裁判所は、右申立を理由あるものと認め、主文の通り決定する。

(裁判長裁判官 小野謙次郎 裁判官 大江健次郎 裁判官 奥輝雄)

別紙目録

〈省略〉

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